「自分自身を表現できる仕事が向いていると気づいたんです。」
この美容業界に入った理由を、キラキラとした笑顔で話す吉川智美さん。

ヘアカットサロン『ORANG ORANG』のディレクターで、完璧なプロポーションと素敵な笑顔をもつ彼女。実は、友人に出場を薦められた「ミセス・クイーンコンテスト2018」にて、見事グランプリとして選ばれ、同年の11 月に世界大会「ミセスグローブ」に日本代表として出場した輝かしい経歴を持っている。

「20 年間、ずっとお客様に提供し続けていた「きれい」を、今度は自分に、且つ“厳しく”向けるのは初めてのこと。今までで一番頑張った気がします。ただ、想像を絶するほど本当に大変でした。」

外見を磨くことはもちろん、仕事を続けながら、慣れない英語のスピーチや経験のないダンスなどパフォーマンスを練習する日々。自分自身との闘いだったという。

「この経験が今どう活かされているかと聞かれると、正直わからないです。でも、70 か国もの国々の代表が集まる世界大会で、自分を世界基準で考える意識の高い出場者たちとの出会いこそが刺激的でしたし、日々の活力になっていると思います。私も頑張らないと…！って。」

店の看板メニューでもある「ニューヨークドライカット」は、一人ひとりの髪の毛のクセや生え方の特徴を捉えながら、髪が乾いた状態でカットする技術。北陸初上陸の技術として吉川さんが提供し続けている。

技術との出会いは吉川さんが31 歳の時。このカット技術を生み出し、ニューヨークで活躍するトップスタイリスト山根英治氏のドライカットライブを見に大阪へ。見たこともない、波打つ美しいボブを目の前で見た吉川さんは、あまりのカットの美しさに、身震いし、涙を流したと話す。

このことがきっかけとなり、「私もこの人からゼロから学びたい。」との想いで、年に数回ニューヨークから帰国する山根氏に習い、5 年かけて技術を身につけた。

また、大切なお客様により良いものを提供したいと「tm（ティム）」という店のオリジナル商品も製作。高濃度のシルクとヒアルロン酸が配合されたシャンプー、トリートメント、美容液で、人気のラインナップとなっている。

『ORANG ORANG』に来店する顧客は⻑年通われる方や、家族単位で通う方がほとんどだという。節目などには連絡を取り合うなど、アットホームな関係を築いている。

「お客様が誰かに「きれい」と言われているのがうれしいです。きれいにして、感謝されることがやりがいですし、本当にお客様あっての私なんです。お客様がいらっしゃるから、私は髪を切ることができるんです。」

常に謙虚に感謝の気持ちを忘れない吉川さん。高い技術と、顧客を想う気持ちがあるからこそ足しげく通うファンが多いに違いない。

今回、来店されたお客様の“大切な貴重品を入れるオリジナルバッグ”を製作することになった。

ヨーロッパ風のメルヘンな店内は、女性心くすぐるアイテムで溢れている。店の雰囲気を損なわないよう、マカロンで有名なフランス パリのメゾン『LADUREE』の世界観を参考に、女性が持っていても恥ずかしくなく、⻑財布やスマートフォンが入る大きさのものを提案。

バッグが倒れることなく単体で自立するように、ベースにはしっかりした生地感の8 号帆布を採用。フルカラー印刷で全体にパステルカラーのパープルと店のトレードマークでもある手鏡を印刷、ゴールドの糸で店名の刺繍を施し、店の雰囲気にもぴったり合うデザインにした。

美容家として、またISD 個性心理学インストラクターとして人材育成や女性のためのセミナーも開催している吉川さん。
「美容で頑張っていきたいという人を育てていきたいです。人をきれいにするというこんな楽しい仕事ないと思います。」